中古車が抱える闇!ウソのようなホントの話

「中古車=怪しい」という印象は、令和になっても完全に払拭できていません。また、昨今は大手中古車買取販売店の不正行為が取り沙汰され、中古車の売り買いに不信感や不安を持っている方も少なくないと思います。

そこで、自動車業界に20年以上身をおいてきた筆者が実際に体験した、見聞きしたびっくり中古車を紹介しつつ、安心な中古車の選び方についても解説していきます。

中古車だからこそ闇が存在する

一般ユーザーから見て、中古車が怪しいと感じる大きな要因は、仕入れから流通、販売まで、すべてのプロセスが目に見えないブラックボックスだからに他なりません。

中古車として販売するためには、使用されている車を仕入れる必要があります。主な仕入れ方法は2つで、オートオークションと直接販売です。

オートオークションは、鮮魚や青果の市場と同じように競りが行われています。このオートオークションは誰でも入れるわけではなく、各オークション会場に登録している業者しか入ることができません。

このように、前オーナーの手を離れてから店頭に並ぶまでの過程が見えないからこそ、そこに“闇”が存在します。そして、利益を追求しすぎる業者がいることで、ユーザーからしてみれば「騙された!」と思えてしまうような中古車が販売されているのも事実です。

中古車の値段は有って無いようなもの

中古車販売店はオークションから仕入れた車、または自社で買い取った(下取った)車両を転売します。その際、車両価格を定めることになりますが、簡単に決められるものではありません。中古車は車種や年式、走行距離といった基本情報に加え、内外装の程度やグレードなど、さまざまな要素によって決まります。

また、同じ車種であっても、季節や流行によるニーズの変化に大きく影響され、一定ではありません。そのため、極々一部ではあるもののその特性につけ込み、あり得ない価格の中古車や不正行為に手を染める中古車販売店が存在します。

実際に見聞きしたウソみたいなビックリ中古車

なぜ中古車が怪しいと思われてしまうのかについて、その特性ゆえの理由を解説してきました。ここからは、自動車業界に20年以上携わってきた筆者が実際に経験、または見聞きしたビックリ中古車の事例を紹介します。

ヘッドレストのポールが割り箸

ヘッドレストとは、シートの背もたれの上に取り付けられた枕のようなパーツのことです。枕とは言ってもその役割は大事で、正式には「頭部後傾抑止装置」といいます。安全に欠かせない保安部品のため、通常は頑丈な金属の支柱でシートに取り付けられています。

しかし、そんなヘッドレストの支柱が「割り箸」という中古車がありました。正確な理由は不明ですが、本来ある金属の支柱が何らかの原因で欠損し、本来ならヘッドレストごと交換しなければならないところ、販売経費削減のため割り箸で代用したのでしょう。

当然本来の強度はないため、すぐ異変に気がつき販売店にクレームを入れたようですが、その中古車は現状渡しの低価格車。購入者が自腹でヘッドレストを交換しなければなりませんでした。

納車したその日にオーバーヒート

オーバーヒートは車を使っていて遭遇するトラブルのなかで、比較的一般の方にも認知されているのではないでしょうか。オーバーヒートが起きる原因はいろいろありますが、ある程度きちんと点検し、整備していれば防げるトラブルです。

中古車を購入した場合、安全に乗るために納車前の点検や整備がされているものですが、中には、その整備が不十分なまま納車されてしまうケースはあります。もちろん、ほとんどの販売店では間違いのない点検と整備が行われていますが、オザナリにしている店舗の100%ないとは言い切れません。

この事例では、冷却水のホースからの冷却水漏れが原因であり、冷却水のホースが保証対象外のため保証されないという最悪のケースでした。どれほど丁寧かつ慎重に点検整備をしていても、絶対に壊れないとは言い切れません。中古車は心配という場合は、できるだけ手厚い保証のある店舗で購入することがおすすめです。

横転した形跡が後から発覚

購入したくない中古車といえば、やはり“事故車”です。正確には修復歴ありと言われる中古車で、車の骨格部分を損傷し、修理した形跡のある中古車が該当します。

そんな修復歴あり中古車ですが、唯一あるメリットといえば価格が大幅に安いことです。かくいう筆者もその安さに惹かれ、修復歴ありとわかって購入した経験があります。実際に試乗も行い、エンジンやミッション、足回りなど走行に欠かせない箇所に大きな不具合はないことを確認。まだ整備学校在学中の拙い知識で見極めたつもりで購入しました。

欲しかった車をフルローンで購入し、大満足していたのですが、いざ就職したディーラーで先輩が下回りを覗くと「おい、これ多分ひっくり返ってるぞ…」というではありませんか。確かに修復歴ありとわかっていたものの、お店から聞いていたのは右フロントのみ。しかし教えてもらいながら確認すると、車両横の骨格であるサイドシルやBピラー、さらに屋根にまで溶接やパテ埋めの跡があります。

安い買い物ではありませんでしたが、サーキットで走り倒すことを想定していたので、結局5年10万km以上乗り、今となってはとても思い入れのある一台です。(良い勉強になってことも含めて)

中古車でよく耳にする不正

上記で紹介した事例はかなり特殊なケースですが、中古車業界には定番とも言える不正が存在します。現在ではかなりそういった中古車や販売店は少なくなっていますが、自己防衛のためにも覚えておきましょう。

走行距離の巻き戻し

中古車の不正として定番中の定番と言えるのが、走行距離の巻き戻しです。走行距離は中古車の価格を決める上で重要な要素のため、巻き戻すことで見かけの距離を少なくし、高値で売りやすくなります。

現在では車検証に検査時の走行距離が記載されるようになったため、きちんと確認すればそういった車両を購入してしまう心配はありません。

事故車の隠蔽

上記でも紹介した筆者が過去に購入した中古車がまさにそうですが、修復歴あり(事故車)であることを隠して販売している場合があります。

先述した通り、修復歴の「有り無し」は骨格部分に損傷を受けたかどうかです。そのため、外から見ただけでは判別することはできません。また、一般の方が溶接や塗装の違いを見分けることはまず不可能です。

水没車の隠蔽

事故車よりも避けるべきは水没車でしょう。水没車とは読んで字の如く、洪水や豪雨によって浸水してしまった車のことです。水没車は事故車と同じく、もっとも評価の低い中古車に分類されるため、オートオークションでは安い価格で取引されます。

水没車を買ってはいけない理由は2つあり、1つ目は購入後のトラブルです。水没した場合、もっともダメージを受けるのが電装系で、一旦正常になったように思えても時間が経つと故障する場合があります。

2つ目は車内の臭いです。完全に乾燥していたとしても、気温が高いときや湿度が高いときには何ともいえない悪臭を放つ場合があります。程度にもよりますが、水没車の臭いを100

%除去することは不可能なため、あまり安すぎる車には中が必要です。

安心な中古車を購入する方法

新車に比べ安い中古車とはいえ、やはり危ない中古車は避けたいところです。そこで、少しでも安心の中古車を手にいれる確率を上げるため、最低限抑えておきたいポイントを3つ紹介します。

実際に車を見る

コロナ禍の影響もあり、中古車のオンライン商談も一般的になりました。遠方である場合はもちろん、外出することなく中古車を購入できて便利です。

しかし、いくら詳細の画像を見たとしても、本当に細かい傷は判別できませんし、エンジンのアイドリング音、何より車内の臭いは確認できません。

そのため、よほどこだわりを持って探し続けていた希少車、または、信頼できる販売店でない限り、オンラインのみでの購入は避けましょう。実際に行くことのできる範囲で中古車を探し、実車を確認することが大切です。

記録簿や整備記録を確認

人間でいえばカルテや履歴書のような役割を持つのが、点検記録簿です。12ヶ月点検や24ヶ月点検といった法定点検の内容と結果が記載されています。また、ブレーキパッドの交換や足回りなどを、点検以外で分解した場合に発行される臨時分解記録簿も、入っていればぜひ確認したいところです。

これらの記録簿を確認することで、どんな整備をしてきたのか、きちんと管理されてきた(大切にされてきた)車かどうかがわかります。さらに、記録簿に記載された走行距離を確認することで、メーターを巻き戻していないかの確認もでき、安心して購入するために重要なポイントです。

安心できる店舗で購入する

そもそもの内容となってしまいますが、やはり信頼できる店舗で購入するのが一番大切です。ただし、昨今話題となった大手中古車買取販売店の例でも分かるように、全国的に展開している大手だから安心ということではありません。

中古車情報サイトの口コミを参考にしつつ、スタッフの対応は誠実か、保証内容や契約内容の説明は丁寧かどうかなどを実際に確認することが大切です。

まとめ

1台として同じ車が存在しない中古車は、まさに一物一価。その値段は有って無いようなものと言わざるを得ません。そのため、ごくごく一部ではあるものの、ユーザーをいかに騙すかということばかり考えている販売店も存在します。

後悔しないためには、できる限り自分の目で確認し、信頼できる店舗で購入するようにしましょう。

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