ライト仕様のランクル! 次期型はランドクルーザー250の名称に トヨタ プラド

世界的なクロカンブランドである「ランクル」シリーズにおいてライト仕様的な存在となるのがランドクルーザープラドです。初代は1990年にデビューしたモデルであり、2023年には後継となるランドクルザー250を発表し、2024年前半には発売を予定しています。プラドとしての最終型となる現行モデルは4代目にあたり、2009年にデビューし通称「150系」と呼ばれます。

全長4,825×全幅1,885×全高1,850×ホイールベース2,790㎜と、十分のサイズではありますが本家ランクルとよりひとまわり小さいことがわかります。最低地上高は当時のランドクルーザー200に比べて5㎜低いですが220㎜というラフロードでも余裕のクリアランスを確保しています。走破力を示す”各種アングル”もランクル譲りで、水深70cmまで走れてしまう走破力を持っています。車高が高いため乗り降りはしにくい部類にはなりますが、サイドステップの幅が長めに設計されているため足を置きやすいメリットも持っています。

スタイルは2度のマイナーチェンジで変更されていますが、どっしり感のある迫力の顔つきが特徴的です。プレスラインを強調させてモリモリ感のあるボンネットは力強さを与えるだけでなく、運転席からの見切りにも役立ちます。4隅の感覚が掴みやすく、全幅1,885㎜とは思えない見切りの良さがあります。

3列目シートは身長170cmで頭上がギリギリ程度で、膝回りはかなり窮屈なスペースとなります。ただし多少リクライニング(電動)も可能なので1時間程度のドライブは耐えられそうな印象でした。2列目シートはヘッドクリアランスも膝回りも余裕のスペースで快適性の高さがあります。

悪路を走るための機能が満載

メーターには傾斜角やステアリング切れ角、トラクションモニターなどを表示させることが可能です。ナビモニターには「マルチテレインモニター」という機能を表示でき、走行ガイド付きのフロントビュー、上から見下ろすサイドビューなどカメラ機能も充実しており、狭い悪路を走る場合の視界確保にも配慮されています。

そしてインパネセンターにはデフロックなど4WDシステムの操作ダイヤル&スイッチが並びます。ボタン式となっていますが、機構的には機械式であるため、それを電子制御でコントロールする仕組みです。センターコンソールにはランクルらしいクーラーボックス内蔵で、夏場などではエアコン送風でドリンクを冷やしておけます。

リアハッチガラスにあるボタンを押せばガラス部だけを開けることができ、バックドアを開けるスペースがなくても小物を荷室に入れたりできて便利です。バックドアは横開き式となり、こちらはかなり張り出してしまうため実用性には少し欠ける印象です。3列目シートは荷室側から電動で操作が可能で、倒すとフラットな空間を作ることができます。

パワートレインは2.8ℓ直4ディーゼル(204ps/500Nm)と2.7ℓ直4ガソリン(163ps/246Nm)の2タイプが設定されます。どちらも性能は十分ですが、燃費は車重や4WDシステムなどもあり、WLTCモードでディーゼルが11.2km/ℓ、ガソリンは8.3km/ℓにとどまります。

道なき道をゆく世界屈指の制御機構を搭載

悪路走破の制御はさすがのランクルブランドで、現在の視点で見ても高度で最新に引けをとらないシステムを搭載します。「マルチテレインシステム」は5つの走行モードをコントロールするもので、MUD&SAND/LOOSE ROCK/MOGUL/ROCK&DIRT/ROCKが用意され、4WDの駆動力制御、トラクションコントロール、エンジンスロットル特性などをトータルでコントロールする高度なシステムです。メーターのインフォメーションディスプレイに操作アドバイスを表示することも可能で、トータルで運転をサポートする優れものです。さらに「クロールコントロール」も搭載し、これはアクセルやブレーキを操作せずに超低速走行を可能とするオフロード走行の支援機構です。速度は5段階に設定可能となり、厳しい悪路をステアリング操作のみに集中できるモードです。ちなみに4輪スタックしたような場面でも「クロールコントロール」の超微細な制御によって脱出が可能なケースもあるというほどの機能となっています。

実際の走りの印象は、フレーム構造だけにフロア振動がどうしても伝わってきますし、ロードノイズなど音の侵入も普通車に比べると大きめです。しかしこれらはクロカンなら当然なもので“プラドらしさ”という乗り味とも言えます。岩場など悪路での走破力を前提とした足回りはストローク量が豊富で非常に快適性は高く仕上げられています。2トン超えのボディを活かした動きをしており、重厚なフィーリングも好印象です。気になるのはエンジン振動で、特にディーゼルは顕著ですが、もしそれさえ気にならなければとてもおすすめできるモデルです。もちろん一般的な乗用車に比べると特殊なモデルではありますが、圧倒的な安心感やゆったり感はとても魅力的と言えます。