唯一無二の本格軽オフローダー スズキ ジムニー

世界屈指のオフローダーとして大人気の軽自動車がジムニーです。ラダーフレーム、パートタイム式4WD、リジット式サスペンションなど本格クロカン的なシステムが与えられながらも、軽自動車規格のコンパクト&軽量なボディを採用することで、どんな道でも圧倒的な走破性能を誇ります。林道や狭い道の多い山岳地帯、積雪地帯でのパトロールカーとしても活躍するなど、軽自動車+本格オフローダーという唯一無二の存在として、日本だけでなく世界でも高い評価と人気を集めます。

初代モデルは1970年に発売され、現行型は4代目となります。3代目から20年ぶりのフルモデルチェンジとなり大注目を集めましたが、ジムニーの持つ魅力は変えず、それでいて現代的になって登場しました。スクエアな形状のボディはクロカンらしさを感じさせつつも、可愛らしいアイコニックなキャラクター性も印象的です。もちろんこのスクエア形状は室内からの見切りの良さにも繋がっており、前後左右とも非常に視認性がよく、車両感覚がつかみやすいというメリットもあります。

クロカン並みのアプローチ角を確保

全長3,395×全幅1475×全高1,725㎜というボディサイズとなり、車両重量は1,040〜1,050kgとかなり軽量な点もオフローダーとして重要なポイントです。最低地上高は205㎜、デパーチャーアングルはフロント41度・リア51度を確保されて、ラフロードでの走破性の高さが数字からもわかります。

エンジンは660cc直列3気筒ターボのみでNAエンジンの設定はありません。トランスミッションは4速ATと5速マニュアルを用意し、もちろん4WDのみとなります。グレードは3タイプ用意され、LEDヘッドライトやアルミホイールなど上級装備が付くXC、中間グレードとなるXL、そして装備簡略のXGという構成です。どのグレードにも5速MTと4速ATがラインナップされます。

ジムニーにはFRと4WDと切り替えできる機械式副変速機付きのパートタイム4WDが採用されます。トランスファーは従来のボタン式から昔ながらのレバー式に変更されたのもファンには嬉しいところでしょう。また、現行モデルではESPが標準装備となったことで、ブレーキLSDが追加されたのもトピックです。トランスファーを4Lモードにした場合のみ、電子制御でトラクションコントロールされる仕組みとなります。さらに滑りやすい路面や急な下り坂などで一定速度を保つヒルディセントコントロールも標準装備されました。

ラゲッジスペースは後席を倒さない状態だとスーツケースを縦にギリギリ置ける荷室長があり、狭いながらも考え込まれた容量となっています。シートを倒せば最大容量352ℓのフラットなスペースを作り出せますが、XGグレードは左右一体型のリヤシートタイプとなるため、独立でのアレンジができない点は注意が必要です。XC、XLグレードでは防汚タイプのラゲッジフロア、さらにはフロントシートも撥水加工されるなど、アウトドアシーンでの使いやすさもプラスされています。

振動さえジムニー”ならでは”の乗り味

走りは一般的なクルマとは異なるもので、安定感ある走りでもなければ、快適で静かな移動とは言えないものですが、これが「ジムニーの味」と思えてくる独特な世界観を持っています。また、4速ATのためギアを下げて加速するシーンも多く、アイドルストップなども搭載されないため燃費面では不利と言わざるを得ません。全体的に見ても荒々しくも感じる乗り味ですが、無骨感のあるインテリアの雰囲気も相まって、これがジムニーの世界と言えるため、不満を感じることはないでしょう。足回りはよく動く味付けで、路面状況に応じて絶えず上下に揺れていますが、これはラフロードでの路面追従性に絶大な効果を発揮するものです。ジムニーはまずオフロードを含めた走破性を重視し、そこに日常オンロード走行における快適性を不快感のないレベルに仕上げている、と言った方がいいでしょう。

もしMTの操作に抵抗感がなければ、5速MTモデルを選ぶほうが燃費や走りのフレキシビリティ含めておすすめです。直列3気筒ターボエンジンはスズキの他軽自動車にも搭載されるものと同型ですが、ジムニー専用チューンが施され、力強い加速を見せてくれるため、動力性能で不満はまったくありません。

ワンクラス上の走りが欲しいならシエラを

また、この軽自動車規格のジムニーをベースに一回り大きくした普通車規格のジムニーシエラも用意されます。こちらは5ドアで全長3,550㎜(+155㎜)、ワイドフェンダー化で全幅1,645㎜(+170㎜)、全高1,730㎜(+5㎜)となります。ただしベースはジムニーと同じであるため、室内寸法や荷室空間に変わりはないパッケージとなっています。エンジンは1.5ℓ直列4気筒NAで、102ps/130Nmというスペックです。ワンクラス余裕の走りを得られるのがジムニーシエラとなっています。ただしアプローチ角度や最小回転半径、ボディの軽さなどは軽自動車のジムニーに分があり、単純なオフロード性能ではジムニーシエラがやや劣るという位置付けです。