初代から世界をリードする静かで快適なラグジュアリーセダン レクサスLS

レクサスブランドのフラッグシップモデルとして位置付けられるのがLSシリーズです。日本でレクサスブランドが立ち上がる前までは、セルシオというクラウンを超えるトヨタのフラッグシップセダンとして展開されていたモデルです。現行モデルはLSシリーズとしては5代目となり、2017年にデビューしました。すでにデビューから5年が経過していますが、毎年のように年次改良を行なって各部をブラッシュアップしており、パワートレインの制御や快適性のチューニング、装備充実化や運転支援の強化など、大きく進化させてきているのが特徴です。

スタイルは4代目までの正統派ラグジュアリーセダンとは異なり、スポーティさを強調したデザインを取り入れています。デビューから3年後の2020年には内外装のデザインを大きく変更するマイナーチェンジが行われ、最新のレクサスデザインのアイデンティティが導入されました。ボディサイズは全長5,245×全幅1,900×全高1,450㎜、ホイールベースは3.125㎜となります。従来型には標準ボディとロングボディが設定されていましたが、現行型はロング仕様のみとなっています。ロングボディでは取り回しなどが不利になってしまいますが、後輪操舵システムを採用することで、ハンドリングや実用性をバランスさせています。

匠の技や工芸品を思わせる仕立てのインテリア

インテリアはレクサスらしい匠の技が光る仕立てで、工芸品のようなドアトリム&オーナメントパネル、シートはスピンドルグリルのメッシュパターンから発想したキルティング処理が施されるなど、上質さが際立ちます。またこのオーナメントパネルにはオプションで切子調カットガラスやプラチナ箔といった仕様も選ぶことができ、まさに芸術的なパネルも用意されています。シートは低反発ウレタンを使うことで柔らかな座り心地とし、上質かつ充実の便利機能と合わせて”おもてなし”空間が広がります。

パワートレインはベースモデルとなる3.5ℓV6ターボエンジン搭載のLS500、3.5ℓV6ハイブリッドのLS500hの2タイプがラインナップします。どちらもFRと4WDが設定され、高度運転支援の「アドバンストドライブ」は500hの4WDのみで設定されます。

グレードは標準仕様となるIパッケージ、上級装備が着いたバージョンL、後席装備が充実したエクスクルーシブ、そして専用のスタイルが与えられたFスポーツが用意されています。Fスポーツは見た目だけではなく走行性能面でも専用チューニングが施され、専用サスペンション&リニアソレノイド式AVS、専用ブレーキ、20インチタイヤ&ホイール、ホールド性を高めたスポーツシートなどが装備されます。

レベル2相当の運転支援「アドバンストドライブ」も用意

運転支援も2020年のマイナーチェンで大きく進化しており、「レクサスチームメイト」と呼ばれる最新システムを搭載しています。高度運転支援機能「アドバンストドライブ」によりレベル2相当の自動運転(限定した範囲でアクセル&ブレーキ、ハンドルを前後方向への支援をコンピューターが行なう)を達成しており、MIRAIとともにトヨタグループ初となる高度運転支援となります。従来のミリ波レーダーとステレオカメラに加え、望遠カメラとLiDARを搭載、さらには高精度地図情報を組み合わせることで、カーナビで目的地を設定すると車載システムが車線変更を含めて各種操作を支援します。ただしドライバーの監視は必須であり、作動は高速道路と一部の自動車専用道路の本線のみと限定されます。そして実際に使って1点気になったのは、車線変更を実行するにはミラーを見る(ドライバーモニタリングカメラがその目線を検知)必要があり、一般的にドライバーが行うミラーをチラ見するというレベルでは判定してくれないケースがありました。もちろん運転支援精度は高いため、安心感につながる装備であることは間違いありません。

年次改良でレクサスらしい快適性を進化し続ける

2023年の一部改良ではレクサスらしい上質な快適性の進化を掲げて足回りをリファインしています。コンフォートモードでは後席の乗員に不快な揺れを抑制される機能も追加されました。実際に後席で試乗すると、従来のLSにあったプルプル振動がおさまっており、明確に乗り心地がよくなっています。ちなみに前席では振動がややあり、前後での快適性は後席が圧倒的に優れています。

このLSらしいコンフォート性能を求めるなら、重量による重厚感のある500hがおすすめです。Sクラスや7シリーズ、A8といった世界のラグジュアリーセダンと比べても、LSは静粛性高く上質な乗り味が強調されていますので、レクサスならではの世界観は非常に魅力的です。しっとり滑らかな走り、圧倒的な静粛性という2点においてはドイツ御三家にも勝るポイントと言えるでしょう。ただしライバルは全体的なバランスが優れているためトータルでの不満が少なく、対するLSは美点が突出しているだけに、細かな部分が気になるという面もあります。