最低地上高200㎜と余裕のクリアランスを持つクロスオーバー クロストレック

Cセグメントに属するハッチバックモデルのインプレッサをベースにした、クロスオーバーモデルがクロストレックです。従来モデルでは日本名「XV」「インプレッサXV」といったネーミングが付けられていましたが、海外名である「クロストレック」に統一されています。全長4,480×全幅1,880×全高1,575㎜と、デザインの違いと最低地上高アップ分でインプレッサより全長+5㎜、全幅+20㎜、全高+60㎜と若干サイズアップしています。従来型のXVでは立体駐車場適応の全高1,550㎜となっていましたが、新型クロストレックはシャークフィンアンテナ&ルーフレールを非装着とすれば1,550㎜に抑えることができます。

グレードはシンプルに2タイプで、標準モデルである「ツーリング」と上級グレードの「リミテッド」となります。それぞれにFFとAWDが設定されるため、全4バリエーションとなっています。スタイル面での大きな違いは、各部がブラック塗装され17インチタイヤが標準のツーリング、各部がダークグレー加飾され18インチタイヤとなるリミテッドといった具合です。ちなみに17インチ・18インチともにマッド&スノーのオールシーズンタイヤが装着されます。

オーバーフェンダーなど力強さを強調したスタイル

エクステリアはインプレッサをベースにオーバーフェンダーなど樹脂パーツの追加などにより、どっしりした力強さが高まっています。存在感あるグリル、ボリュームを増したボンネット、強調されたキャラクターラインと、クロスオーバー感がさらに強くなったのも特徴です。インプレッサにはないルーフレールもクロスオーバースタイルを強調するポイントです。最低地上高は200㎜を確保しており、インプレッサより70㎜高められた余裕のロードクリアランスとなります。ちなみにSUVのフォレスターは220㎜となるので、Cセグメントのハッチバックボディながら、単に見た目だけではないクロスオーバー性能が与えられています。

インテリアは11.6インチの縦型センターディスプレイのインフォテイメントなど、レヴォーグなどの最新のスバルデザインが取り入れられています。それ以外は際立った特徴はないものの、実用的でシンプルにまとめられています。総合安全性能にこだわるスバルらしく、フロントガラスやサイドガラスの広さを確保することで視認性を高めているのも特徴で、アイポイントの高さも含めて運転のしやすさもクロストレックの魅力のひとつです。

パワートレインはひとつのみで、eボクサーと呼ばれる2ℓ水平対向エンジン+モーターのハイブリッドが搭載されます。エンジンで145ps/188Nm、モーターは13.6ps/65Nmを発生しますが、スペックからも分かるようにフルハイブリッドというよりは”マイルドハイブリッド”という位置付けになります。ミッションはスバル独自のリニアトロニックCVTのみでMTの設定はありません。シンメトリカルAWDの四輪駆動に加えて、従来のXVにはなかったリーズナブルな価格設定のFFモデルもラインナップされます。

3カメラ式の最新世代アイサイトを搭載

運転支援は従来の2眼カメラ式から3眼カメラ式(広角カメラ追加)へと進化しており、各種機能が強化されています。元祖”ぶつからない”をサポートするプリクラッシュブレーキ、緊急回避を支援するプリクラッシュステアリング、車線逸脱抑制やエマージェンシーレーンキープアシストといったハンドル支援など充実しています。万が一の歩行者との衝突時に被害軽減を行なう歩行者保護エアバッグも標準装備しており、安全にこだわるスバルの魅力と言えます。もちろん全車速追従機能付きクルーズコントロールやツーリングアシストなど、アクセル・ブレーキ・ハンドルの各種操作をアシストし、高い運転支援もアイサイトの魅力です。

また特徴的な機能として「what3words」が採用されています。これはイギリスで開発されたアプリで、3つの単語によってピンポイントな位置情報を共有できるというシステムで、全世界の位置を3m四方のマス目に区切って指定できるというものです。日本車ではこのクロストレックとインプレッサが初搭載となり、車載システムに組み込むことで単語を音声認識し、ナビの位置情報として活用できるというものです。道路のどちら側であるとか、広い駐車場やキャンプ場といった場所でも、従来の住所では指定できない場所をナビ設定したり、共有したり(スマホアプリもあり)できるという優れものです。

走りは上質すぎて非力感すら感じる!?

走りはボディなど各部の振動コントロールが効果的に発揮され、上質な乗り味が印象的です。パワートレインは必要十分ではあるものの、若干の非力感は否めません。最初の加速時こそモーターアシストが感じられますが、そこから先のエンジンの加速力が少し足りない印象です。しっかり感のあるシャーシは芯の硬さこそありますが、18インチタイヤでも不満を抱かないほど上質な乗り味、快適さを実現しています。この完成度の高いシャーシ性能、従来型より静粛性が高まったパワートレインなどの影響でエンジンの非力感が目立ったとも言えます。