Dセグメントを代表するスポーティさ際立つセダン BMW

BMWでもっとも中核を担うモデルが3シリーズです。欧州のカテゴリーではDセグメントに位置付けられ、メルセデス・ベンツCクラスやアウディA4、日本車ではレクサスISなどが属するクラスです。BMWらしくスポーティな走りが特徴で、同セグメントではスポーツセダンのベンチマークとされています。現行モデルは2019年にデビューした7代目となり、2022年にフェイスリフトを含む大きなマイナーチェンジを行なっています。

前後重量配分や車両の運動特性を考慮してFRレイアウトを基本とし、一部モデルはxDriveと呼ばれる4WDもラインナップします。ボディタイプはセダンで、ツーリングと呼ばれるワゴンボディも設定されます。

また、主力モデルということでパワートレインのラインナップが充実しており、ベーシック仕様の2L直4ターボ(318i/320i)、2L直4ディーゼル(320d)、3L直6ターボ(M340i)、そして2L直4ターボ+モーターのプラグイン(330e・セダンのみ)が用意されます。よりスポーティな仕様のグレード「Mスポーツ」も設定されATがスポーツタイプになり、サスペンションやステアリングもよりスポーティな仕様となります。

エクステリアは切れ長のシャープなヘッドライトやボディラインにより、スポーティなスタイルとしています。またBMWの特徴となるキドニーグリルは縁をシルバー加飾で覆うなど存在感を強調しています。ボディサイズは全長4,720×全幅1,825×全高1,440㎜、ホイールベースが2,850㎜となり、Dセグメントのセダンとしてスタンダートなサイズ感と言えます。

シンプルでスッキリしたインテリア

インテリアは12.3インチの液晶メーターと14.9インチのセンターモニターを並べたワイド感あるデザインとなっています。ディスプレイ内での操作に集約し、必要最小限のボタンは残されたシンプルなデザインも3シリーズの特徴となる部分です。派手さはないものの使いやすさや質感を感じられる仕立てとなっています。マイナーチェンジでシフトノブが廃されて小型のシフトセレクターとなった点も、シンプルなインテリアを象徴するポイントです。トランクスペースやリアシートの空間など実用的な広さを確保しており、正統派セダンの魅力をしっかり感じられるものです。

運転支援は高速道路渋滞時のハンズオフアシストを含む、各種機能が充実しています。35km/h以下の直近50mのルートを記録してその軌跡を辿れるリバースアシスト、「OK、BMW」と話かけてシステムと対話できるインテリジェント・パーソナル・アシストといった先進機能も搭載されており、上位モデルと遜色ない充実ぶりです。

骨太感を感じるガッチリした乗り味

実際の走行特性は剛性感を感じる、いかにもドイツ車らしい乗り味を持っています。若干硬さも感じますが、重量バランスに優れたFRセダンらしく気持ちのいいハンドリングです。高速巡航ではどっしりした特性ですが、ワインディングのような走行環境ではスポーツカーかと思わせるほどの楽しさがあります。骨太感のある乗り味はクルマ好きドライバーのハートをしっかり掴むものです。

よりホットな仕様としてMパフォーマンスモデルの「M340i xDrive」も用意されています。M340iは快適性も備える非常にバランスの優れたモデルで、BMWお家芸のストレート6(直列6気筒エンジン)は387ps&&500Nmというスペックを誇ります。スポーツセッティングの8速ATのスムーズかつダイレクトな変速もあり非常に力強い加速性能を持ちます。それでいてたとえウエット路面でも安定する4WDシステムにより、高い安定性も両立しています。かつてのM5が「羊の皮を被った狼」と表現されていたのと同様に、M340iも外観は”普通の”3シリーズながら高い走行性能を備えています。このM340iはワゴンボディのツーリングにも設定がされています。

ツーリングにもM3モデルが登場!

そしてサーキットでの速さを見据えた最強モデルのM3もラインナップします。専用チューニングの3L直6ターボエンジンは550ps&650Nmというハイスペックが与えられ、シリーズ初の4WDモデルが追加されたのもトピックです。しかもこのM xDriveにはFR状態を作れる2WDモードも用意され、ドリフト走行をアシストするプログラムも搭載されます。なお、現時点でのラインナップではFR仕様が日本では選べないのは注意が必要です。もちろんサスペンションやボディ、ブレーキなど出力に合わせてM専用のチューニングが追加されています。エクステリアも専用アイテムが多数装着され、3シリーズベースとはいえまったく異なる存在感を放ちます。さらに2023年はMの創立50年を迎えており、その記念モデルとしてワゴン(ツーリング)のM3も登場しました。エンジンスペックやチューニング内容もM3セダンに順じたもので、サーキットも走れるワゴンとして独自の魅力を持つモデルとなっています。