E-POWERの魅力を存分に活かしたコンパクトカー ノート

エンジンは発電用で駆動はモーターのみ

日産の主力コンパクトカーがノートです。2代目となる現行モデルはe-POWERと呼ばれるハイブリッドのみが用意され、FFモデルは1モーター、4WDモデルはリヤにもモーターを追加した2モータータイプとなります。

このe-POWERはエンジンを発電用として、その電力を使ったモーター駆動というシステムとなります。カテゴリーとしてはハイブリッドに分類されますが、走行感覚やメリットはEV(電気自動車)そのものです。

ノートに搭載される発電用エンジンは1.2ℓ直列3気筒で82ps/103Nmを発生し、これに116ps/280Nmのモーターを組み合わせます。4WDモデルはこれにさらに68ps/100Nmを発生するリヤモーターが搭載されます。またこのシステムをより効果的に使うモードとして、エンジン発電を続けてバッテリー残量を上げる「チェージモード」、できる限りバッテリー電力でEV走行をする「マナーモード」も用意されます。また、e-POWERシステムの魅力でもあるワンペダル走行も可能で、これはアクセルオフで強い回生で減速するもので、アクセルのオンオフのみで速度コントロールができるというものです。ただし先代は完全停止まで可能でしたが、現行モデルでは最後は自身でブレーキを踏む必要があります。

走りはルノー・ルーテシアとも共通するCMF-Bプラットフォームの素性がよく、シャーシの良さが際立ちます。ボディ剛性が高くしゃっきりした走りはとても好印象です。走行モードはECOとSがありますが、先代のSは「スマート」だったのに対し、現行では「スポーツ」となります。これが表現するようにハンドリングやシャーシの仕上げもスポーティな走りに応えるもので、走行性能の高さが魅力です。とはいえ硬すぎず柔すぎずの適度な味付けで、日常使いの多いコンパクトカーとして理想的な仕上げです。エンジンが掛からなければつねにEVドライブによる静粛性の高さが味わえますが、たとえエンジンが掛かってもその稼働音をノードノイズに隠す制御が効果的に働いていて通常のガソリン車やHV車以上に静かです。もちろん電動ドライブらしい力強い加速はとても爽快で、280Nmのトルクを効率的に発生するモーターらしい動力性能です。4WDモデルは先代からリヤモーターが大幅に向上しており、FFよりぐっと力強い加速が得られます。さらに4WDらしい安定感や雪道での走破力もあり、通常時でもどっしりした走りが味わえます。

電動ドライブとの相性もいいプロパイロットも用意

安全装備も充実しており、日産の運転支援システム「プロパイロット」をオプションで選択可能です。全車速対応のクルーズコントロール、車線中央を維持するレーンキープなど、高速走行などで大きく活躍してくれるシステムです。モーター駆動は加速レスポンスがよく、プロパイロットとの相性がいいのもe-POWERを搭載するノートの魅力と言えます。

インテリアは大型の液晶メーターとナビが一体となったような先進的なデザインが特徴的です。ブリッジ型のセンターコンソールは肘置きとしても使いやすく、収納やドリンクホルダーも効率的に配置されて実用的です。後席はボディサイズからも分かるように決して広くはないですが、日常使いでは必要十分というスペースを確保しています。

ノートをベースにした派生モデルも多くラインナップされており、地上高を25㎜アップさせたクロスオーバー、上質さを追求したオーテック、さらには上質さを高めた追加モデルとしてノートオーラもあります。

3ナンバーボディの上質なノートとしてオーラも追加

ノートオーラはノートをベースに上質さにこだわり開発されたモデルで、内外装ともに大きく変更が加えられています。オーバーフェンダーの採用などによって全幅はノートより40㎜広い1735㎜とされ3ナンバーボディとなります。インテリアはメーターが12.3インチと大型化(ノートは7インチ)され、質感を高める木目調パネル追加、ツイード調織物表皮追加などされています。

オーラに搭載されるe-POWERは第二世代と呼ばれるもので、1.2ℓ直列3気筒エンジン+モーターというシステムは同じながら、モーターは20ps&20Nmアップとなる136os/300Nmと出力向上が図られています。走りもトレッドが20㎜拡大されたこととタイヤのサイズアップ(ノートが16・オーラが17)のより、踏ん張り感が大きく向上しているのが印象的です。

さらにオーラには専用チューニングが施されたNISMOも設定されています。ニスモシリーズに共通する専用のエアロパーツにより空力特性は高められ、専用ダンパーで車高は20㎜ローダウンされています。サスペンションは通常のオーラよりフロントで36%、リヤで25%締め上げられており、かなりハードなセットとなります。パワートレインに変更はなくスペックも同様となりますが、NISMO専用のドライブモード制御とすることで、加速感や減速感がチューニングされており、ECOとNORMALに加えて「NISMO」が追加されているのもポイントです。そこから得られる走りは力強く加速は過激とも表現できるほどに機敏で、チューニングされた足回りも俊敏なハンドリングを見せます。刺激的なスポーツコンパクトが欲しいというニーズに直球で応えるモデルと言っていいでしょう。