車検の相場はいくら?法定費用・車検基本料とは?内訳や安く抑える方法などを徹底解説

自動車に継続して乗り続けるために必要な検査が、車検です。大事なものだとはわかりつつ、毎回車検の時期が近づくと「費用はいくらになるのだろう」と不安を覚える方もいると思います。

本記事では、車検費用の相場について、法定費用や車検基本料に着目しながら解説。車検費用を安く抑える方法についてもまとめているので、費用が気になる方はぜひ参考にしてください。

車検は必ず受けなければならない

車検は「自動車検査登録制度」と呼ばれ、道路運送車両法の第六十二条により義務づけられている検査です。自家用乗用車の場合は新車購入から3年、その後は2年ごとに受ける必要があります。

国が定めた最低限の安全基準である「保安検査」をクリアしていないと自動車検査証が交付されず、公道を走ることが許されません。もし車検切れの車を運転した場合は、無車検走行として違反行為と見なされます。

車検の検査項目は、自動車の安全性能や排気ガスの低減性能の確認を行う目的で設定されており、主に9つあります。

  • 同一性の確認
  • 外観検査
  • サイドスリップ検査
  • スピードメーター検査
  • ヘッドライト検査
  • ブレーキ検査
  • 排気ガス検査
  • 下回り検査(ビット方式)
  • 総合判定

これらはすべて国で定められた基準のため、一つでもクリアできなければ車検に合格できないと理解しておきましょう。

車検費用(法定費用)の内訳について

車検費用は、依頼する車検業者へ支払う車検基本料や部品交換にかかわる費用のほか、法定費用がかかります。法定費用とは「自動車重量税」「自賠責保険」「検査手数料」と呼ばれる3つの費用を指します。

法定費用は、どの車検業者に依頼しても納める額は変わりません。ただし、自動車重量税は車両重量により分類わけされています。また、自賠責保険料は普通自動車か軽自動車かなどで費用が異なります。

自動車重量税や自賠責保険について詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

参考:自動車の維持費はどれくらい?内訳や目安、節約方法などを徹底解説!

検査手数料は、車検を受ける際に必要な手数料です。印紙や証紙を購入して支払うため「印紙代」「証紙代」と呼ぶこともあります。この手数料は、車検を依頼する業者が指定工場

か認証工場かどうかで金額も異なります。

  • 指定工場……自社工場で車検を行う・民間車検場とも呼ばれる
  • 認証工場……自動車の分解整備はできるが、車検の検査は車検場で行う

各工場へ車検を依頼した際の検査手数料は以下の表のとおりです。

 自動車の種類検査手数料
指定工場普通自動車 (3ナンバー)   1,800円 (OSS)1,600円
小型自動車 (5ナンバー)   1,800円 (OSS)1,600円
軽自動車   1,800円 (OSS)1,600円
認定工場普通自動車 (3ナンバー)   2,300円
小型自動車 (5ナンバー)   2,200円
軽自動車   2,200円
参照:国土交通省「自動車検査登録ポータルサイト」車検手続きのデジタル化のお知らせ

なお、検査手数料については令和5年1月1日より価格が改定されています。継続検査を検討している方は、2年前と価格が異なる点に注意しましょう。

車検業者に支払う「車検基本料」について

車検基本料は、車検を業者に依頼する際に発生する費用です。車検基本料には「24ヵ月点検料」「測定検査料」「車検代行料」「車検業者の人件費」「代車料」などが含まれます。24ヵ月点検は法定点検として義務づけられている点検です。

車検を依頼できる業者はいくつかあり、依頼先によって設定している価格が異なります。

  1. ディーラー
  2. 車検専門店
  3. ガソリンスタンド
  4. カー用品店

それぞれの業者の車検基本料の相場と特徴を、以下で詳しく解説します。なお、整備が必要な場合は、別途部品や作業にかかる費用が別途発生する点は留意しておきましょう。

① ディーラー

ディーラー車検は、ほかの車検業者に依頼するよりも費用が高いといわれています。車種により料金は異なるものの、相場としては35,000〜100,000円程度です。

車検をディーラーに依頼する最大のメリットは、安心してまかせられる点です。そのメーカーに精通した専門家が多く、点検・整備に関しても高い品質が期待できます。純正のパーツへ取り替えることも可能です。

長く安心して乗り続けたいという方は、ディーラーに依頼するのがよいでしょう。

② 車検専門店

車検専門店での車検基本料の相場は、15,000〜30,000円程度です。車検専門店はその名のとおり車検を専門に扱っているため、点検や整備の経験が豊富で品質にバラつきの少ない点がメリットだといえるでしょう。また、短時間で点検整備を行ってくれるところもあり、単日で車検を完了できる可能性があるのもうれしいポイントです。

一方、店まで車を持って行かないといけない点や純正の部品を使っていない点などがデメリットとして挙げられます。手厚いサービスや品質を求める方には満足できない恐れがありますが、「日程調整が難しいから最短で終わらせたい」「車検は必要最低限でよい」と考えている方に適しています。

③ ガソリンスタンド

ガソリンスタンドのなかには、整備士が常駐していて車検を受けられるところもあります。ガソリンスタンドで依頼する場合の車検基本料の相場は、15,000〜35,000円程度です。

大きなメリットは手軽さにあるといえます。給油のついでに依頼したり、受付スタッフがいれば早朝や深夜に依頼したりすることも可能です。

ただし、整備やサービスの質にバラつきが起きやすいのがガソリンスタンドのデメリットです。依頼を検討する場合は日頃からスタッフやサービスの質を確認しておくとよいかもしれません。

④ カー用品店

カー用品店で車検を依頼する場合の車検基本料の相場は、10,000〜45,000円程度です。普段からカー用品を購入しているなじみのある店がある方は、スムーズに依頼できるでしょう。店舗自体が普段から部品交換や整備を行っているため、実績が多いところも安心できるポイントです。

また、純正品以外の部品を多く取りそろえており、自分で選びやすいところもメリットでしょう。反対に、知識がないと適したものを選びづらい点がデメリットです。カー用品店は購入者側へ判断をゆだねる傾向があるため、車の知識をつけておくと安心です。

車検費用の相場は結局いくら?

車検費用は、自動車の車種や年式、状態によってバラつきがあります。

  1. 自動車重量別の相場
  2. 車検業者別の相場

ここでは、上記2つの相場について解説します。

① 自動車重量別の相場

車検費用の相場を知りたい場合は、まずは法定費用を算出しましょう。自動車重量別の相場は以下の表のとおりです。

車両重量軽自動車1,000kg以下 (5ナンバー)1,500kg以下 (5ナンバー)2,000kg以下 (3ナンバー)2,500kg以下 (3ナンバー)3,000kg以下 (3ナンバー)
車種例タント ワゴンRスイフト パッソアクア ノートVOXY セレナアルファードハイエース
自動車重量税5,000円10,000円15,000円20,000円25,000円30,000円
自賠責保険 (24ヵ月)17,540円17,650円17,650円17,650円17,650円17,650円
検査手数料1,800円1,800円1,800円1,800円1,800円1,800円
合計24,340円29,450円34,450円39,450円44,450円49,450円
※エコカー減税対象・継続検査・指定工場で車検を受けた場合

自動車の重量で金額が変わるのが、自動車重量税です。自動車重量税は条件を満たしていれば、免税や減税を受けられます。また、初年度登録から13年以上または18年以上経過している場合は、税額が変わる(重課される)点に注意が必要です。

② 車検業者別の相場

ここでは、トヨタ アクアの車検を依頼する場合の費用相場を計算してみます。車検を依頼する業者別における車検費用の相場は、以下の表のとおりです。

アクアの場合ディーラー車検専門店ガソリンスタンドカー用品店
車検基本料35,000~100,00円15,000~30,000円15,000~35,000円10,000~45,000円
法定費用34,450円34,450円34,450円34,450円
合計69,450~ 134,450円49,450~ 64,450円49,450~ 69,450円44,450~ 79,450円
※法定費用の内訳……自賠責保険17,650円・自動車重量税15,000円・検査手数料1,800円と仮定

車検基本料の相場でみると、カー用品店が安価で、ディーラーが高価だとわかります。それぞれのメリット・デメリットを加味すると、自動車についての知識があり自分で選択できる方はカー用品店が向いています。

一方で「全部おまかせにしたい」「使用する部品などの品質も重視して安心できるところに依頼したい」という方は、ディーラーが向いているといえるでしょう。

車検費用が高くなるケースについて

車検費用が高くなるケース4つを紹介します。いつも車検費用が高いと感じている方は、以下のケースに該当している場合があるのでチェックしてください。

整備箇所が多い

低年式で経年劣化が進んでいたり日頃からこまめなメンテナンスを怠っていたりする場合は、必要な整備箇所が多くなりがちです。整備箇所が増えれば、部品交換に必要な費用も増えます。修理箇所によっては技術料(工賃)も増える場合があるため、結果として車検費用が高額になるわけです。

初年度登録から13年以上経過している

長く愛車に乗り続けている方や低年式の中古車を購入した方は、初年度登録から何年経過しているか確認しておくとよいでしょう。初年度登録から13年以上または18年経過している場合は、自動車重量税が高くなります。

詳しくは、以下の表を参考にしてください。

用途区分車両重量2年自家用
普通乗用車 通常13年経過18年経過
0.5トン以下8,200円11,400円12,600円
~1.0トン16,400円22,800円25,200円
~1.5トン24,600円34,200円37,800円
~2.0トン32,800円45,600円50,400円
~2.5トン41,000円57,000円63,000円
~3.0トン49,200円68,400円75,600円
用途区分車両重量 
軽自動車一律6,600円8,200円8,800円
参照:2023年5月1日からの自動車重量税の税額表|国土交通省

高級車に乗っている

高級車や外国産の自動車を車検にだす際、費用が高くなる場合があります。法定費用などは国産車と同じ費用であるものの、部品代が高くなる傾向にあるためです。希少性の高いパーツだったり部品を輸入しなければならなかったりする場合は、そのぶんのコストもかかると理解しておきましょう。

また、部品の取り寄せに時間がかかるほど車検完了までの期間も延びるため、代車のレンタル費用が加算されるケースにも注意してください。

業者の価格設定が高い

車検基本料や部品交換にかかる作業代など、価格は車検業者によって異なります。そのため、業者側の価格設定が高い場合は、おのずと車検費用も高くなります。

価格設定が高い業者に依頼する場合は、丁寧な点検はもちろん、整備の質の高さやアフターフォローが充実しているかどうかも確認するのがよいでしょう。

車検費用を安く抑える方法はある?

車検費用を安く抑える方法を5つ紹介します。以下で詳しく説明するので、なるべく節約したい方は参考にしてください。

相見積して比較する

車検は、どの業者に依頼するかで金額が変わります。そのため、複数の業者に見積もりを依頼しながら比較するのがよいでしょう。

車検費用はそれぞれの業者が設定している「車検基本料」で大きく変わります。車検基本料と併せて、サービス内容もよく確認しておくと安心です。また、細かな整備や部品交換に関しても、「何にいくらかかるのか」を確認しておくと想定外の出費を防げます。

不要な項目を省く

車検の見積もりを提示された際に、検査項目以外の整備や部品交換の費用が含まれています。提示される内容は、検査項目ではないものの安全のために整備したほうが良いものや、将来的に交換が必要になる部品など理由はさまざまです。

しかし、少しでも車検費用を抑えたいと考えている方は、今すぐに必要な整備以外の項目を見積もりから外すのも一つの方法です。事前に「必要最低限でよい」と伝えておくと、必要なものだけ見積もりしてくれます。

こまめな点検整備を行う

日常的に自動車の点検を行っていれば、車検で指摘される整備項目は減らせます。特に、オイル交換やタイヤ交換など、定期的に交換が必要なものは車検時に限らず、日頃からチェックしておきましょう。必要なタイミングでのメンテナンスは、故障や事故を防ぐことにもつながります。

日常点検整備は道路運送車両法にも定められている義務です。日頃のメンテナンスを心がければ、車検費用を抑えつつ長く安全に乗り続けられます。

法定費用の安い車に乗り換える

車検業者の選定や日頃のメンテナンスをしっかり行っていても費用が高いと感じる方は、法定費用が安い車種への乗り換えを検討するのもよいでしょう。車両重量の重い、いわゆる3ナンバーと呼ばれる車種は、法定費用も高くなる傾向にあります。

車両重量が軽い車は自動車重量税が安くなるため、車検時の法定費用を削減できます。また、軽自動車やエコカー減税対象車から選ぶのも一案です。電気自動車など、車種によっては免税となる自動車もあるため、車を買い替える際は維持費まで考慮しながら選びましょう。

コストパフォーマンスが高い業者に依頼する

車検費用を安く済ませるために相見積はおすすめですが、一番安価な業者に依頼すればよいわけではありません。例えば、ディーラーに依頼すると金額は高くなりますが、純正の部品に交換してもらえたりアフターフォローが期待できたりします。また、ガソリンスタンドに依頼すれば、ガソリン代の値引きなど特典を受けられる場合もあります。

依頼する車検業者を選ぶ場合は、金額だけでなく品質やサービスを考慮しながら、コストパフォーマンスの高い業者に依頼しましょう。

車検費用を支払う際の注意点は?

車検当日、費用を支払う際に注意したいのが、現金を用意することです。車検は数万円と大きな出費になりがちですが、車検業者によってはクレジットカード払いやローンに対応していない場合があります。

「大きな金額だからクレジットカードのポイントを貯めたい」「まとまった現金を用意するのが難しい」など考えている方は、依頼する業者が対応している支払い方法を確認しておくことが大切です。また、クレジットカード払いに対応していても、自動車重量税や自賠責保険などの法定費用は現金で支払わなければならない場合があるため注意してください。

さらに、車検は当日に部品交換が必要だと判明するケースもあります。事前見積もりでは詳しく見られない部分の整備が必要になった場合など、見積もり金額と差が出る恐れもあるため、余分にお金を用意しておくと安心です。

まとめ

車検費用は自動車の車種や重量だけでなく、どの車検業者に依頼するのかで大きく変わります。普段のメンテナンスが苦手で、じっくり点検整備をしてほしい方はディーラーへ依頼するのが安心です。

反対に、自動車についてある程度の知識がありメンテナンスも普段からこまめに行っている方は、ディーラー以外を検討するのもよいでしょう。車検に必要な法定費用や車検基本料について理解し、なるべく予算内でおさまる車検業者をみつけてください。