爽快をコンセプトに進化した11代目 シビック

全長&ホイールベースが伸び車格アップ

初代モデルを1972年に発売して以来、ホンダの世界戦略車として重要なポジションを担ってきたのがシビックです。ワンダーシビックやスポーツシビックなど通称名で表現されていましたが、11代目となる現行型では「爽快シビック」とネーミングされました。走りやデザイン、室内の仕上げや操作感など、各要素に”爽快”なコンセプトを持たせて作られています。

全長4550×全幅1800×全高1415㎜×で、ホイールベースは2735㎜と、先代モデルよりわずかにサイズアップされています。ホイールベースは35㎜も長くなっており、その数値からもシビックの車格がワンランク高められたのがわかります。このホイールベースの拡大はリヤシートの居住性アップにも貢献しています。さらに、振動対策や防音にも力が注がれており、より上質なモデルとして仕立てられています。

エンジンは1.5ℓ直4ターボと2ℓ直4ハイブリッド(e:HEV)の2タイプがラインナップされます。ガソリンモデルにはCVTのほか6速MTモデルも設定されており、全モデルともFFのみとなります。燃費はガソリンモデルが16.3km/ℓ、ハイブリッドモデルは24.2km/ℓとなっています。

グレードはスタンダードのLX、上級のEX、ハイブリッドのe:HEVというシンプルな構成となります。運転支援の「ホンダセンシング」やナビ機能も備わる「ホンダコネクト」といった安全・便利機能は全モデルで標準装備となり、グレードによる違いはシートやLEDヘッドライト、リヤベンチレーションなど快適装備の違いとなっています。

シンプルで機能的な仕上げのインテリア

インテリアはシンプルながら上質な仕立てが魅力です。パネル中央にあるハニカムメッシュにはエアコン吹き出し口が内蔵される特殊なデザインを採用し、エアコンの操作ダイヤルはクリック感を持たせるなど、各部にこだわりを感じさせます。実際に座り込んでドアを閉めると静粛性に驚かされます。

ハッチバックボディのためラゲッジスペースの使いやすさも特徴で、バッテリーを搭載するe:HEVも同等の容量としており、ホンダならではのパッケージングの妙といえるポイントです。トノカバーは先代と同様にロールタイプが採用され、左右どちらにも格納できるという面白いアイテムで、これは全グレードに標準装備となります。

走りについては、コンセプトのとおり「爽快」がわかる、ワインディングでこそ輝く仕立てになっています。ボディやシャーシが強化された効果によりしっかり感が強く、スポーティなホンダらしい硬派なイメージです。また、ガソリンモデルはMTとCVTにより走りが大きく違います。MTはワインディングを気持ちよく走りたくなるスポーティさ・軽快感があり、CVTモデルはゆったり走りたくなるどっしり感があります。

ハイブリッドのe:HEVは上質さが際立つ走りが魅力です。ガソリンモデルに比べて静粛性がワンランク高く、ノイズコントロールも追加されるのでとにかく静かな車内空間が作られています。また、バッテリー搭載や補強によってボディのしっかり感はシリーズ随一で、重心も低くなっており軽快感もかなり高いのが印象的です。e:HEVは専用タイヤや補強の効果もあって振動も少なくなっており、重さを生かした乗り味も魅力的です。ハイブリッドと言えばエコなイメージが強いですが、シビックのe:HEVはアクセル&シフトのコントロール、電動モーターによる力強い加速など、スポーティ方向の仕立てとなっています。

FF世界最速を争うタイプRもラインナップ

また、ホンダのスポーツモデルの代名詞「タイプR」も用意されます。シビックタイプRとしては6代目となり、FF最速を世界のライバルと争うホットモデルです。エンジンは2ℓ直4ターボで、ミッションは6速MTのみの設定となります。先代から10ps/20Nmアップされて歴代最強となる最高出力330ps/最大トルク420Nmを発生。エンジン各部の改良熟成・軽量化も施されレスポンスや走行特性の向上も図られています。走行モードをもっともハードな「+R」にするとアクティブサウンドコントロールが機能して、エンジンサウンドが強調される仕組みも備わっています。

タイプRの走行性能は圧倒的に高く、サーキットでは吊るし(ノーマル)でここまで走れるか…というレベルに仕上がっています。にも関わらず、MTを採用していることで一般道でも楽しい走りを味わせるのも魅力です。歴代もっともハイパワーではありますが、FFのもつクセ(ネガ)を抑えられており、速さと安定性を両立しています。

内外装ともタイプR専用アイテムが盛り込まれ、歴代モデルと共通する赤のバケットシート、アルミシフトノブなどが装備されています。

シビックシリーズの魅力は、このタイプRの設定が最初から決まって開発がスタートしたことにより、タイプRベースのボディ・シャーシ作りがなされている点です。これによって基本部分に大きなポテンシャルがあり、そこにMTも用意されるガソリンターボ、スポーティなハイブリッドシステムも追加され、クルマの基本である走りの良さが際立っています。まさに”ホンダらしさ”が光る1台と言っていいでしょう。